Annual Report 2019 Program

2019年度GLIKプログラムレポート

2019年春期は、本プログラムでは初となるスリランカ出身の1名を含む11ヵ国18名が参加。秋期は8ヵ国15名が参加。

日本Ⅰ6 weeks

多彩なバックグラウンドを持つメンバーが集まる。
3.5ヶ月間のプログラムが日本からスタート。

チームビルディング

これから3.5ヶ月の共同生活に先立ち、多様なバックボーンを持つ参加者達がアクティビティを通して、感情・価値観をぶつけ合いながら相互理解してチーム力(心のスクラム)を高めるとともに、自分自身についても再発見する。

物事のとらえかたや判断の仕方を学ぶ

ケーススタディを中心に戦略論を学ぶなかで、参加者は容赦なく質問を投げかけられ、どれだけ事前に仮説を立てて深く戦略を考えてきたかが問われる。
続いてGLIKのコアである知識創造によって、イノベーションを起こすための方法論や知識経営論を実践する企業の方から事例を共有いただき、リーダーとしての哲学や企業のありかたを考える。

日本でのフィールドワークの一例:調味料、加工食品製造会社

日本の伝統的な調味料であり、今や海外の食文化にまで大きな影響を与えている醤油。その醤油を現地で生産できるようにするために、どのように醤油づくりを現地法人に根付かせたのか、工場見学を交えて組織論の観点から議論した。

米国(ハワイ)6 weeks

リベラルアーツなどを学び、視野を広げながら、
自らのイノベーションプランを作り上げていく。

アメリカの一州でありながらミクロネシアだけでなくアジアの影響も受け、移民を受け入れて多民族社会として独自の発展を遂げてきたハワイで、哲学・法律・経済・安全保障をリベラルアーツとして体系的に学ぶことで、物事を判断する際の価値基軸や審美眼を身に付けてもらうのが狙い。

リベラルアーツを学ぶ

有識者の見解・思想をただ学ぶのではなく、ある出来事・時代背景をとらえて西洋・東洋の双方の視点から物事を考え、クラスメイトとの意見交換を通して自分の価値観とは違う観点で考える習慣を身に付ける。

ハワイでのフィールドワークの一例:真珠湾訪問

真珠湾を訪問し、当時の時代背景も踏まえて真珠湾攻撃を一方の当事者である日本人の視点とハワイの人々の視点から考える。

ホームステイ

ハワイ滞在期間中は、多様な文化・価値観に触れることを目的にホームステイ先で過ごす。GLIK参加者とは異なる視点での意見を聞けることが醍醐味。
異なる価値観を持った参加者が同じことを体験し、経験・意見を共有し合うことで、違う価値観や物事の捉え方があることが浮き彫りになり、視点・観点の拡大が加速される。そこから導き出される発想に深みが出てくる。

シンガポール1 week

急激な成長を遂げたシンガポールの国家レベルでの取り組み事例を学ぶ。

シンガポールモジュールは、産学官が一体となり国家レベルのイノベーションを起こし、国家を急成長させたリーダーシップとその実践を学ぶ。

産官学のイノベーションの現場をひとつずつ訪問。資源が乏しいシンガポールは経済発展のために、海外企業を誘致し、国外の優秀な人材に対して教育の場を提供することで、国外の知を国内に取り込もうとしてきた。実際に、彼らが成功することで、シンガポールの発展につながる循環が作り出されている。

また、建国の父であるリー・クアンユーの秘書を務めた後、シンガポールの複数の政府機関のトップを四半世紀にわたって務めた人物から、自分の迷いが国全体に大きな影響を与えてしまったエピソードなど踏まえてリーダーとしての覚悟や心得を共有していただいた。

タイ1 week

タイ独自の価値観で成功させたイノベーションを体感し、
自身のイノベーションプランと向かい合う。

タイモジュールは、独自の価値観に基づいて社会課題解決に成功した実践とリーダーシップを学ぶ。

ドイトゥン開発プロジェクトを訪問し、当事者との対話を通じて社会課題をソーシャルビジネスの形で解決した軌跡を学ぶことで、参加者の取り組むイノベーションプランのアプローチを考える。

≪ドイトゥン開発プロジェクトとは≫
ドイトゥン開発プロジェクトとは、30年以上前に故プミポン国王の母である王太后が始めたタイの王室系財団法人メーファールアンによる王室プロジェクト。

ドイトゥン地域は、ミャンマーと国境が隣接するゴールデントライアングル地域に位置する。この地域には少数民族が住み、長期にわたり貧困により麻薬栽培にて生計を立てることを余儀なくされていた地である。メーファールアンは、この悪循環を断ち切り、住民が安全に生活できるように代替作物を栽培するプロジェクトを設立した。

王室系財団法人メーファールアンのトップとの対話

地域の人たちの生活の基盤を支えていると言えるドイトゥンプロジェクト。このプロジェクトを現在率いている3代目CEOとの対話を通じて、新たな課題やそれに向き合うリーダーとしての責任感、気迫を感じ取ることができた。

日本Ⅱ1 week

3.5ヶ月の集大成として、それぞれのイノベーションプランを発表。

自分なりの答えを出す

GLIKプログラムを通して、プログラム開始時とは別のテーマに変更したプロジェクト、テーマは同じだが別のアプローチになったプロジェクトなど様々である。しかし、彼らの挑戦の目的は、最終プレゼンで優勝することではない。自分たちのコミュニティをより善くするイノベーションプランを現実的なものにして、より大きなインパクトを与えること。だからこそ、彼らは最後までとことん自分のプロジェクトに向き合い、納得するプロジェクトに仕上げていく。

GLIKプログラムを終えて

3カ月半を通して見違えるほど充実したプロジェクト。全く別のテーマに変わっているプロジェクト、課題は同じだが、学ぶうちに別のアプローチになったプロジェクトなど様々であるが、共通して言えるのは、参加者全員がやり遂げた表情になっていること。GLIKプログラムが始まる前からプロジェクトについて考え続け、GLIKプログラムを通して自分なりに答えを出し、ここに至った苦労が皆の顔に現れている。

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