Interview

―GLIKに応募される前、GLIKプログラムについて、どのような印象をお持ちでしたか?
実はGLIKについてはあまり知らなかったのですが、以前からグローバルビジネスに興味を持っていたため、「チャンスがあれば、海外のプログラムに参加したい」ということは上司に伝えていました。その甲斐あって、「参加してみませんか?」と声をかけてもらったときは、嬉しかったですね。
そのあと、じっくりとプログラムを調べたところ、予想以上に充実した内容だったので、再び「やった!」という気持ちになったのを覚えています。一番惹かれたのは、個人でチャレンジするキャプストーンプロジェクト*であったり、チームで取り組むハワイでのワークがあったりと、実践を通して学べる点でした。これまでもいくつかの研修やセミナーは受けてきましたが、座学中心のインプット型が多かったため、学びとアウトプットがセットになっているプログラムはとても魅力的だったのです。
ただ、英語については、かなり不安でした。会社が用意してくれた英語学習プログラムに加え、アジアパシフィック地域からの参加者の英語を聞き取る練習をするため、アジア系の先生の多いオンライン英会話教室に入会したりもしました。本番まで時間もなかったので、とにかく開始までにできることはなんでもやったという感じです。

*各モジュールでの学習・実践に加え、参加者各自が、3.5カ月間取り組む個人プロジェクト。自身が実際に解決したい社会課題を定義し、解決のためのイノベーションモデルを創る。

―参加されてもっとも驚いたこと、刺激的なことは何でしたか?

正直、最初は刺激が多すぎてびっくりしてしまいました。どんなに情報が少なくても、答えのない問いであっても、自分の意見を瞬時に発信することができる海外のメンバーを前に圧倒されてしまったのです。おそらく常日頃からアンテナを高く張って、様々なことに興味を持ち、情報収集をしているため、どんなことに対しても自分の意見を言えるのだと思いますが、そうした訓練をしていなかった私は劣等感すら覚えるほどでした。
「このままではいけない!」と考え、積極的に発言してみるのですが、知識がなかったり、自信がないテーマだったりすると、二言目が言えなかったり、曖昧な返答になってしまったり……。日本人メンバーで集まったときには「このままだとよくないね」「もっと発言しないといけないね」と励ましあったりもして、だんだんと自分の意見を言ったり、建設的なコミュニケーションをとれるようになったというのが実際のところです。
そんな環境にも慣れ、ホッとするのもつかの間、ハワイに移ってからは別の意味で大変でした。講義の内容がより専門的になるため、予習復習をしっかりとやらないとついていけないのです。夜遅くまで勉強して、ベッドに転がり込んで、朝は5時に起きてレポートを書いたりと、受験生のような毎日で、ハワイを感じられたのは土日だけという生活でした。

―GLIKプログラムの目的の1つに「リーダー育成」がありますが、参加を通して、リーダー観に変化はありましたか?

プログラムに参加した当初は、リーダーシップを発揮するメンバーを横目に、リーダーというのは、自分の意見をどんどんは発信して、引っ張っていく人のことを言うのだなと感じていました。
ただ、プログラムが進行する中で、気づいたことがあります。それは、彼らは決して自分の理想や思いを押し付けているわけではなく、傾聴すべきはしっかりと傾聴し、必要に応じてメンバーを巻き込みながら、ゴールを目指していたのです。
実際、チームで臨んだハワイプロジェクトでは、時にはぶつかったりもしながら、メンバーそれぞれの強みをお互いに理解し合って、全員がリーダーシップとフォロワーシップを発揮したことで、見事1位を獲得することができました。
人間力と言ってしまうと、あまりに抽象的ですが、人のことを思いやる気持ちであったり、理解しようとする姿勢、自分の都合ばかりではなく、他者の利益を優先するようなマインドがリーダーには必要だということに気づけたのは、私にとっては大きな収穫でした。

―プログラム全体を通して得たもの、あるいは思い出深い出来事はありましたか?

プログラムを通して得られたものは大きく2つあります。
1つは、仕事人生の原点にもなるような体験ができたことです。迷ったり、失敗したり、大変な場面に遭遇した際に、「GLIKプログラムを乗り越えられたのだから大丈夫」と思えたことは一度や二度ではありません。それは「自信」というよりは、「しっかりと生きていかなければならない」という感覚に近いかもしれません。同時に、インプットばかりの働き方を反省するきっかけにもなりました。メンバーとの議論を通して、「思っている」だけではなんの意味もないこと、しっかりとアウトプットして、形にしていくことの大切さを痛感したからです。
もう1つは、「課題の本質は何か」を問い続ける姿勢です。「障がいを持った方々を、社会としていかにインクルージョンするか」というテーマで臨んだキャプストーンプロジェクトでは、課題が大きすぎたために、何度も本質を見失いそうになりました。その度に、目的やゴールといった本質に立ち返る必要があったため、今では「この会議は何のためにやるのか」「プロジェクトの狙いは何か」といように、これまでよりも深く議論しながら仕事を進められるようになりました。
たとえば、資料づくりをする際、以前なら、指示通りにやることや、発信者の思いに重きを置いていましたが、資料を受け取る相手はどう捉えるのか、どういうイメージを伝えるべきかといった「本来の目的」に立ち返ったうえで、上司とも議論ができるようになったと感じています。

―今後、参加する方へのメッセージ、アドバイスをお願いいたします。

1つおすすめがあるとすると、参加する前に、自分なりの目標を立てることです。私自身、「絶対に1人にならない。どんなときでもメンバーと交流する」とか「睡眠欲に負けない」「自分に負けない」といった目標を設定していたことで、プログラム期間中、モチベーションが下がりそうになっても、自分を支えることができました。あとは、なんといっても、1分1秒無駄にせずに、メンバーと交流してほしいなと思います。

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